黒澤明「生きる」を見て。生きるってこういうことだ。
平成生まれの私が1950年代の映画、「生きる」を観た。黒澤明監督のやつ。TSUTAYAで関根勤さんおすすめというのを見て、昔の映画に興味があったので見てみた。
- 出版社/メーカー: 東宝
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結論から言うと本当に見てよかった。当たり前だけど生きるということはどんなことかということを気がつけた。ただ決して明るい映画ではない。どちらかといえば「死」を意識させる映画なので暗い。
魅力といえば物語以外のところから言うと、あのレトロ感がたまらん。映像も白黒で、時代背景も昭和って感じ(ポスターとか車の感じとか)。
ただ一番素敵だったのは主人公が口ずさむ「ゴンドラの唄」という大正時代のラブソングのシーン。昔の時代の歌は風情があるなあ。ずっと涙が止まらんやった。
んで、物語の内容に行くと、自分の死がわかったときに各々で考えることは違うと思うけど、主人公の渡辺のように死がわかった瞬間から逆に生き始めるのは強いなあと。(普通だったら死がわかった瞬間もう気持ちが死のことしか考えなくなりそう)ちなみに主人公はそれまで無気力に生きてきて、もはや生きていないに等しかった。
主人公の場合は残りの時間を遊ぶよりも、自分の課長という仕事の中で自分ができることを誠実に懸命にやることで最後の瞬間穏やかに死ねたのではないかと思う。
私がこの映画を見て学んだのは、自分が納得する生き方を見つけて、きちんと誠実に自分ができることを行なっていくということが死ぬ時に後悔しないという当たり前のことを改めて感じさせられた。あと目的もなく生きててもそれは生きてることにならないんだと教えてくれた。これが生きるってことなんだと。
余談で主人公の志村喬というおじさんが最後愛おしくて仕方なかった。あの悲壮感の漂い方がすごい演技だ。
出会えてよかった作品。内容も情景も音楽も素敵。昭和時代にタイムスリップしたくなる。今後の人生で何度も見ようと思う。